奥村グループの方針


 この文章を読んでいらっしゃる方の中には大学院生やポスドクとしてこれから研究室を選ぼうという方もいらっしゃるかもしれません。研究室選びにおいては研究テーマはもとよりその研究室の主宰者の思想も重要なファクターになります。研究の遂行に関して私なりの考えを以下に述べますので参考にしていただけたら幸いです。

1.研究テーマの選び方
 当研究室では分子動力学シミュレーションを行なっています。ここ数年は主に生体分子を対象としてきましたが、私は分子動力学シミュレーションに関することなら広く興味をもっています。研究室メンバーの希望があれば、分子動力学シミュレーションにおける新しい手法の開発からさまざまな物質への応用まで、私の能力の及ぶ限り相談に乗りたいと思います。
 研究は自分が楽しいと思えるテーマを行なうことが重要です。ボスから無理やりテーマを押し付けられた場合には、なかなかやる気がでませんしその人の能力を十分に引き出すことはできません。メンバー個々の自主性をなるべく重んじたいと思っていますので、研究テーマに希望がある方は遠慮なく言ってください。
 とは言っても分子動力学シミュレーションを初めて行なうという人の場合には何を研究テーマに選んでいいかわからないということも多いと思います。その場合は私の手持ちのテーマからなるべくその人の性格、能力にあったものを選んで取り組んでもらうことになります。研究テーマを1つ1つこなし、論文を何本か書くうちに自分なりに適切な研究テーマを設定できるようになってください。

2.プログラムはできる限り自分で書く
 近年、パッケージプログラムを使って分子動力学シミュレーションを行なう研究者が増えてきましたが、私はパッケージプログラムを使うことに否定的です。
 パッケージプログラムを使うことのメリットは誰でも簡単にシミュレーションを行なえることです。しかし、それではどのように分子動力学シミュレーションを行なっているのかなかなか理解できません。またパッケージプログラムに組み込まれている機能だけで研究が完遂するとは限りません。それぞれの研究の局面に応じてプログラムを改変しなければならないこともあります。その場合、プログラムの中身をよく理解できていないと書き換えることができません。書き換えることができても、別の部分で予期せぬ結果を引き起こすこともあります。
 たとえ数ヶ月プログラム作りに費やしたとしても、そのほうが自身の研究能力を高めることができ、長い目でみればより良い研究ができると思っています。生体系などプログラムが複雑ですべて書き上げるのが難しいものもありますが、できる限り自分でプログラムを書いてほしいと思っています。

3.研究室滞在時間、出勤時間
 研究室で研究を行なう時間帯は各自で自由に決めてください。朝早くから研究を始めて夕方早めに帰宅してもいいですし、昼過ぎから夜遅くまででも結構です。他人の迷惑にならない限り(議論やセミナーなどで人と待ち合わせをした場合などを除いて)好きな時間帯に研究してください。

4.学会発表、出張
 研究成果がでれば研究室のメンバーにもなるべく出張して学会発表してほしいと思います。予算の許す限りではありますが、国内出張年に2-3回、海外出張もポスドク以上は1年に1回、大学院生は2-3年に1回くらいは参加してほしいと思います。頻繁に学会発表できるだけの成果を出してください。

 私の研究室を検討される方はお気軽にご連絡ください。

奥村久士
自然科学研究機構 計算科学研究センター
分子科学研究所 理論・計算分子科学研究領域
〒444-8585
愛知県岡崎市明大寺町字西郷中38
電話:0564-55-7277
Fax:  0564-55-7025
E-mail: hokumura@ims.ac.jp