1.3 タンパク質の分子動力学シミュレーションの問題点

タンパク質などの生体分子には自由エネルギー曲面に多くの極小値があります。そのため,通常の分子動力学シミュレーションをおこなったのではこれらの極小値にトラップされてしまい,多くの構造を探索することができません。すると自由エネルギー最小構造である天然構造を正しく再現あるいは予測することができません.

この問題を解決するためにいくつかの方法が提案されてきました.それがマルチカノニカル法やレプリカ交換法など拡張アンサンブル法と総称される手法です.これらの手法では人為的にポテンシャルエネルギーや温度を上げたり下げたりすることにより,自由エネルギーの極小構造を抜け出して,タンパク質の天然構造を正しく計算できるようにします.

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