タンパク質とはアミノ酸が1次元的に(枝分かれすることなく)つながったひもです.生体中でタンパク質はαへリックスやβシートなどの立体的な構造をとっています.天然のアミノ酸は20種類あり、これらのアミノ酸がどう並ぶかでタンパク質の安定な立体構造は変わってきます.アミノ酸の1次元配列情報からタンパク質の立体構造を予測する問題をタンパク質の折りたたみ問題と言います.
分子動力学シミュレーションを使ったタンパク質の折りたたみに関する研究は現在,世界的に注目されている分野です.注目されている理由の1つは分子動力学シミュレーションという統計物理学の手法でタンパク質の折りたたみという生物の問題を説明できるのか?という基礎科学的な興味です.またもう1つの理由はタンパク質が間違った折りたたむことにより発病する病気の原因解明,治療に役立てられるのではないかという医学的応用に向けたものです.
赤:αへリックス
黄:βシート
アミノ酸の一次元配列 (例:プロテインG) タンパク質の立体構造